今年も暑い夏がやってきました!「全国高校野球選手権」。選手たちの奮闘に今年も感動をもらえることは間違いないでしょう。
しかし、今年の甲子園はすでに場外戦がはじまっています。

それは広島県代表・広陵高校に暴力事件が発覚し、世間から「出場を辞退するべき」と厳しい声があがっているためです。
そこで、過去に甲子園を出場辞退した高校を調べ、広陵高校の例と比較しました。
過去に甲子園を出場辞退した高校一覧と理由
過去に甲子園出場を辞退した高校一覧
ここでは、これまでに春のセンバツ・夏の全国大会で甲子園を辞退した高校と、その理由を紹介します。
【1922年】新潟商業(新潟)
4番投手が発熱し、やむなく棄権
【1935年】浪花商(大阪)
兄弟校・浪花高校の設立をめぐるトラブルと、不審火が原因
【1939年】帝京商業(現・帝京。東京)
高校生と偽って、未登録の小学生をベンチ入りさせたことが発覚
【1939年】日大三(東京)
未登録選手をベンチ入りさせていたため
【1952年】門司東(福岡)
野球部員の試験免除問題が明るみになったため
【1958年】浪花商(大阪)
生徒による恐喝事件
【1965年】高知商(高知)
野球部員による暴行が発覚
【1967年】津山商(岡山)
元野球部員による婦女暴行事件
【1971年】北海(北海道)
元サッカー部員による暴行が問題に
【1975年】門司工(福岡)
同校の生徒が婦女暴行を起こしたため
【1984年】函館有斗(北海道)
マネージャーがひき逃げ事故を起こしたことが原因
【1987年】東海大浦安(千葉)
引退した3年生部員が暴行を起こしたため
【1992年】神戸弘陵(兵庫)
野球部員の喫煙が発覚
【2000年】敦賀気比(福井)
野球部員の無免許運転が問題に
【2005年】明徳義塾(高知)
部員による暴力と喫煙が発覚
【2006年】駒大苫小牧(北海道)
引退した3年生部員の飲酒と喫煙が原因
【2021年】宮崎商(宮崎)
新型コロナ感染により辞退
【2021年】東北学院(宮城)
新型コロナ感染の影響で出場できず
【2022年】京都国際(京都)
同じく新型コロナ感染で辞退
高校野球で出場辞退が決定する理由とは?
ここ数年の事例を見ると、最大の理由は新型コロナウイルスの感染です。2020年には、春と夏の大会がどちらも中止になるほど深刻な状況でした。
甲子園を目指して小さい頃から努力を重ねてきた選手たちにとって、この現実は本当に辛いことだったと思います。
過去の名門校にも辞退事例があった

また、高校野球には、技術の向上だけではなく、健全な心と体を育てるという大切な目的があります。
そのため、特に暴力や喫煙などといった素行不良には厳しい処分が下ることが多く、発覚した場合は辞退せざるを得ないケースはめずらしくありません。
過去には名門校である明徳義塾や東海大浦安が、暴力事件が原因で出場を辞退しています。
さらに北海高校は加害者は元サッカー部員と、野球部には無関係にもだったにも関わらず辞退しています。野球部員が気の毒でなりませんね。
渦中の広陵高校野球部とは?
プロ野球OBを多数輩出する甲子園常連校
今回、話題の中心となっている広陵高校は、広島市にある私立高校です。
過去には、阪神の元監督である金本知憲や、広島カープの中村奨成など、数多くのプロ野球選手を輩出してきました。
まさに、甲子園ではおなじみの強豪校として知られています。

2025年に起きた不祥事の経緯は?
ここからは、問題となっている広陵高校の不祥事について、SNSやニュースで公開された情報を元に、時系列で整理していきます。
2025年1月
- 1年生の野球部員A・Bがカップラーメンを食べ、上級生にバレる。
- 口止め料として衣類購入のための金銭を要求される
- 後日聞き取りと称し呼び出され、上級生から2日に渡って殴る蹴るの暴行、屈辱的ないじめを受ける。
- Aは監督に報告も、「高野連に報告することで対外試合に出られなくなってもいいのか」
 と事実を隠ぺいされようとした。
- しかしAの保護者が再告発して事件が明るみになる。その後Aは転校を余儀なくされる。
 2025年3月
- 広陵高校側が高野連に報告し厳重注意を受ける。学校側は「指導の一環」と説明。
 この時点で事態は収束したかに見えた。
 2025年7月
- Aの保護者が警察に被害届を提出
 2025年8月
- Aの保護者のSNSが拡散されたことにより問題が再燃。
- 広陵高校は「3月に処分を受けたことから甲子園出場は問題ない」
 「今後も再発防止と人間的成長に寄与する教育を徹底する」と発表
しかし、広陵高校が出場を辞退せず、「厳重注意」のみだったこと、
また、暴力をおこした当該人物の中にベンチ入りしていたメンバーがいたことから、「処分が軽すぎる」という批判が世間で相次いでいます。
広陵高校はなぜ「厳重注意」で済んだのか?
過去の辞退校との処分の違い

引用元:読売新聞
過去には、暴行事件などを理由に甲子園出場を辞退した高校が数多くありましたが、広陵高校は「厳重注意」という処分で、そのまま出場を続けています。
この大きな差は、いったいどこから生まれたのでしょうか?
処分基準があいまいな背景と広陵の影響力
厳重注意にとどまった理由は、主に2つ考えられます。一つ目は広陵高校側の対応スピードです。
暴行を行った選手をすみやかに謹慎させ、さらに高野連へ迅速に報告しました。こうした素早い対応が評価された可能性があります。
二つ目は広陵高校という学校の影響力でしょう。甲子園の常連校という実績もあることから、再びマウンドに立つ姿を見るのを楽しみにしている甲子園ファンも少なくありません。
名門校としての知名度や、周囲からの期待が、辞退を避ける判断に影響したと考えられます。
さらに見逃せないのが、広陵高校の校長が広島県の高野連の副会長とのこと。この力関係も少なからず、処分が軽くなった背景の一つなのではないでしょうか。
広陵高校が二回戦の出場を辞退

引用元:読売新聞オンライン
暴力事件の影響を受け、広陵高校は、第107回全国高校野球選手権大会の2回戦を前に異例の途中辞退を発表しました。
SNSでの誹謗中傷が日に日に増え、学校に爆破予告があったり、当該部員に被害が及ぶ恐れがあったためとしています。
堀正和校長が会見を開き、
「事態を重く受け止め、本大会への出場を辞退したうえで、速やかに指導体制の抜本的な見直しを図る」
と謝罪。その後、広陵高校の監督とコーチが引責辞任するなど、新体制でのチーム作りが行われました。
しかし、広陵高校のブランドイメージに大きな影響を与えた余波は大きく、来年度の新入生が減少する可能性が指摘されるまでになっています。
 
			 
			